僕が小学生の頃、家から走って5分くらいのところにある山を切り開いた「光スポーツ公園」が完成しました。

 

それ以来、スポーツ公園のアスレチックコースや山の斜面を利用した長い滑り台は毎日の遊び場となりました。

泥だらけになりながら緑の中を走りまわってたどりつく夕日の景色は、僕にとって光市の原風景の一つだと思っています。

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そんな場所に、増野睦子さんが「発信キッチン」というお店を開くというのです。

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まるで映画のタイトルのような、想像力を駆り立てるそんな店名を聞いて、まず浮かんだのが「発信キッチンのテーマ」のメロディでした。

メロディだけではありません。ピアノとグロッケンとピチカートのサウンドが同時に押し寄せました。

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スポーツ公園のことはよく知っていますし、増野さんとも長い付き合いです。増野さんのご主人とは同級生ですし、上京してからも一緒に音楽活動をやってました。さらにリノベーションを担当した建築家の小野美智恵さんも同級生。

「発信キッチン」をめぐる人々のことは昔からよく知っているわけです。

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彼らがつくる空間、そして未来の物語が「発信キッチンのテーマ」にのってオープニングを飾るというイメージができあがりました。

 

そもそも増野睦子さんは、僕が出会った頃は舞台女優でしたし、この「発信キッチン」という物語の出演者であり演出家でありプロデューサーであると言っても言い過ぎではないでしょう。小野美智恵さんが手がけた店内のデザインも何か物語を予感させてくれる気配に満ちています。さらに、堀さんが作ったロゴデザインもまさに映画のタイトルのようではありませんか。

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よし、「発信キッチン」という映画のための音楽をつくろう。

 

そこから、勝手に映画のシーンを想像して、その場面に流れる音楽づくりをしました。
 

ボーカルを担当した川上諒子さんには当初コーラスだけをお願いしていたのですが、彼女の歌声を聴いているうちにコーラスだけではもったいないと思い、詩も書いて歌も作りました。とくに声をおさえて歌う歌声が素晴らしいです。「Nothing but Flowers」という曲ではその「おさえた声」の魅力に溢れていて、聴く人すべてに居心地の良さを与えてくれます。

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このお店は、お子様連れのお母さんにも優しいお店です。家族揃って、またはママ友の集いにも安心してご利用いただけます。

そのイメージで「ママに連れてこられた子ども」の視点の曲も作りました。

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「木もれ陽を浴びて」という曲は高校1年生のときに作った曲です。タイムカプセルのようによみがえりました。もちろん、その木もれ陽というのはスポーツ公園の山かもしれませんし、その近くであるうちの家の裏の山かもしれませんし、ちょっと背伸びをした光市在住高校生男子の思春期の妄想だったのかもしれません。

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さらに、「からすとひよこ」という音楽ユニットにもお手伝いいただきました。からすくんの作るメロディは（僕と違って）とても素直でかわいいです。僕はアレンジを担当させていただきました。これも楽しい作業でした。とくに流れるようなオーケストラアレンジを炸裂させた「グツグツことこと」は最高傑作だと自負しています。自分の曲よりも大好きな曲になりました。

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今回の作品作りを通じて、サウンド的にもこれまでやったことのない手法や、さまざまなアーティストのコラボレーションをやらせていただき、われながら、素晴らしい音楽が出来たと思っています。

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それもやはり、「発信キッチン」というお店のために作ったのではなく、架空の「発信キッチン」という映画のために作ったからだと思います。

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また、これらの音楽は主役がいて、はじめて完成するものだと思います。

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そして、この映画の主役は、この店を訪れるあなただと思っています。

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​発信キッチンで過ごす時間が素敵なものとなりますように。

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